りんごの収穫に向けて

美味しいりんごのために必要な殺虫・消毒作業

2020.08.18


皆さんは「スピードスプレイヤー」という乗り物をご存知ですか?
長野の皆さんにはおなじみと言ったところですが、長野県外の方にはあまり知られていない、この乗り物。
主に、りんごやブドウ、ナシなどの果樹園の消毒に使われる機械で、背の低い木々の中もスイスイと進み、消毒用の農薬を効率よく散布するために用いられる薬剤噴霧器です。


一般的に「悪者」扱いされがちな消毒。
りんごを含む果樹全般に言えることですが、消毒せずにいると病害虫がつきやすく、農薬を使用しない場合には病気にかかったり、害虫が大量発生して樹や実の中に入るなど「害」の方が大きいのです。

特にダニなどの害虫は、葉の裏に付き、気づいたときにはかなり葉を蝕まれており、りんごの樹が栄養不足になってしまうほど。
「りんご栽培に農薬を使わなかった場合、出荷できる果実はほぼ皆無になる」とまで言われています。
病害虫からりんごを守り、おいしさを保ちながら安定した量を生産するためには、最低限の農薬を定期的に散布するこうした消毒作業がとても重要なのです。

しかし、殺虫剤や殺菌剤を使うと聞くと、「体に悪いのでは?」と思う方もいるかもしれません。
けれど農薬の品質は時代とともに進化していて、昔に比べると人体への影響はかなり少なくなっています。

例えば植物の葉っぱについた農薬は太陽光の熱で蒸発してしまいますし、葉っぱや根から吸収された農薬は、植物が持つ酵素によって分解されます。万が一分解されずに私たち人間の体に取り込まれたとしても、ほとんど影響はありません。
もちろん農薬は厳しく定められた使用回数や使用料を守り、周辺に飛散しないよう十分配慮しながら使っています。

この夏、スピードスプレイヤー(地元ではSSと呼ばれています)が新しくなりました。
水害ののち今年の春までは、地域で共用のものを借りて消毒作業を行っていましたが、やっと当園専用の新品が到着!
また毎年美味しいりんごをつくることができます。

出荷に向け、今日は最後の摘果&消毒作業を行いました。
SSの運転は社長が担当。
この日はまだ涼しい早朝6時ごろにスタートしました。
散布量を調整しながら、運転していくのは意外と難しくコツがいる作業なのだそう。

もう間も無く、安全とおいしさに配慮して育てたりんごを、皆さんのもとへお届けします。
どうぞ、お楽しみに!